ヒートマップとは、WEBサイト訪問者の視線の動きをデータ化し、色で可視化する分析方法です。
ユーザーが良く見ているところは「赤」、あまり視線を集めることができていない箇所は「緑」や「青」、といったように、色で表示される為に直観的な分析がしやすいことが特徴です。
“視線の動き”と言っても、実際に人の視線を測るわけではなく、「マウスの動き」を追跡する仕組みになっています。
実際に、マウスの動きと人の視線の動きは80%もの相関関係が実証されており、「マウスの動き=人の視線の動き」と考える事ができる為、ヒートマップでマウスの動きを分析することでユーザーが長時間見ている箇所や、ユーザーが離脱している箇所、そしてクリックしている箇所を把握することができるのです。
ヒートマップ分析の種類
ヒートマップ分析にはいくつか種類があります。
①終了エリア分析
終了エリア分析とは、何%のユーザーがどこまで閲覧したのか、ユーザーがどこで離脱したのかを表したヒートマップ手法です。
終了エリアを可視化したものを、「スクロールヒートマップ」と呼びます。
②熟読エリア分析
熟読エリア分析とは、ユーザーがWebページ上でスクロールを止め、滞在している時間を測り、どの部分がよく閲覧されているのかを表す手法です。よく閲覧されているところは「赤」、あまり注目が集まらないところが「青」で表示されます。
熟読エリアを可視化したものを、「アテンションヒートマップ」と呼びます。
③クリックエリア分析
クリックエリア分析とは、訪問したユーザーが画面上のどこをクリックしているかを表す手法です。これにより、ユーザーがより詳しく知りたいと考えている情報を把握することが可能になります。
クリックエリアを可視化したものを、「クリックマップ」と呼びます。
④マウスホバーヒートマップ
クリックだけではない、ユーザーのカーソルやスクロール等のマウスの動きを表す手法です。多くのユーザーがカーソルを置いたポイントが「赤」となり、その逆の場合が「青」となります。
ヒートマップ分析のメリットは、なんといっても「WEBサイト改善に役立つ」という点です。
人は無意識的に興味のあるものに視線を送ります。
つまり、「視線=興味」と考えることができる為、ユーザーの視線を分析することで「どこが興味を持たれているか」や、逆に「どこが関心を持たれていないか」などが把握できます。
これより、例えば、
・興味を持ってほしいところが注目されていない
・期待していなかった意外なところが注目されている
など、ユーザーの深層心理が手に取るようにわかる為、この客観的なデータをもとにWEBサイトの改善ができ、ユーザビリティの向上に役立つというわけです。
分析方法から考えられる改善法
では、分析方法別に考えられるサイト改善法の例をいくつか挙げていきましょう。
①終了エリア分析:「どこまで見られたか」の分析
この分析方法では、ユーザーが「どこまで」読み進めていったのかが把握できる為、例えば多くのユーザーが離脱してしまっているポイントでの、
・ページや画像の読み込み時間は遅くないか
・ユーザーの求めている情報とのミスマッチが起きていないか
などの他にも、
・ページ何パーセントの部分までに見てほしいコンテンツを持ってくるべきか
などの分析・改善に役立ちます。
②熟読エリア分析:「どこが注目されているか」の分析
この分析方法では、ユーザーがスクロールせずに滞在した時間を計測する為、ユーザーが画面を読み進めていった際に、どの箇所にユーザーの目に留まるものがあるのかを把握することができます。
この手法を利用して、
・ユーザーの興味・関心を持っているところはどこか(内容・デザイン等)
・関心を集めているポイントがページ下部に来てしまっていないか
などの分析・改善ができます。
③クリックエリア分析:「どの箇所に具体的な情報を求めたか」の分析
この分析方法では、ユーザーがクリックした箇所を把握することができる為、
・ユーザーがより興味を持っているリンクの質は問題ないか
・よくクリックされているリンクの配置は問題ないか
・リンク先のない箇所(テキスト・画像など)がよくクリックされている場合、テキストであれば詳細情報が閲覧できるリンク先の追加、画像であれば拡大できるようにするなど、ユーザーの欲求に沿ったサイト改善
などを考え、改善を実行することができます。
④マウスホバーヒートマップ:「どのような動きを取っているか」の分析
この手法では、マウスカーソルの動きからデータを得ることができる為、多くのユーザーがカーソルを置いた箇所が把握でき、画面上でのユーザーの行動を追う事ができます。
この手法を使用することにより、
・WEBページ上でユーザーは効率の良い導線をたどっているか
などの分析・改善ができるのです。