EYEトラッキングとは「視線計測」という意味で、視線の動きをトラッキング(追跡)し、その結果を表示する技術です。
人は無意識のうちに、興味のあるものに視線を送っています。つまり、「視線=興味・注意」となる為、視線の分析はマーケティングの分野等で非常に重要となるのです。
EYEトラッキングは、WEBマーケティングにおいても有効な手段の1つとして活用され、ユーザーがWEBサイトを、
「どこをどのくらい見たのか」
「どこを見なかったのか」
を具体的にデータ化し、ユーザーがよく見ているページの場所や注視時間を視覚的に表示できます。
EYEトラッキングの具体的な分析結果の表示方法として、主に以下の2つが挙げられます。
・ヒートマップ
・ゲイズプロット(プロットマップ)
では、それぞれ説明していきましょう。
●ヒートマップとは
ヒートマップとは、視線のある「注視点」を、その程度や頻度により色分けして可視化できるものです。
注視点は、1/10秒~0.5秒の間で視線のある箇所のことを言い、その注視点が集まれば集まるほど、ヒートマップは赤く表示され、逆に注視点が集まっていない箇所は、青や緑で表示されます。
●ゲイズプロットとは
ゲイズプロットとは、ユーザーの視線移動の順番を示したものです。
どのように移動したのかや視線の頻度がわかります。また、視線がどのくらい集まったかの度合いにより、各ポイントの大きさが変わるのも特徴です。
しかし、EYEトラッキングを理解する上で必ず頭に入れておかなくてはならないことがあります。それは、
「EYEトラッキングでは、“分析できない事”がある」
ということ。
EYEトラッキングでわかることは、以下のようなことです。
◇“どこ”を見たか
◇“どのくらい”見たか
◇“どうやって”見たか(視線の動き)
では逆に、分析できない(わからない)ことはなんでしょうか。
それは、
◇“なぜ”そこを見たか
です。
つまり、ユーザーが“どのように”サイトを読み進めていったのか、“どこ”に関心を持ち、“どのくらい”の時間注視していたのかはわかるものの、“興味があり長く見ているのか”“単に理解ができないだけなのか”など、ユーザーの考えまでは分析できないのです。
よって、実際にターゲットユーザーにサイトを利用してもらい、操作感やサイトの構成に関する課題を発見する「ユーザビリティテスト」などと組み合わせるとより効果的となります。
上で述べた通り、EYEトラッキングではユーザーの注目や視線の動きを分析できる為、WEBのページレイアウト等を考える際に役立てる事ができます。
ヒートマップでは、ユーザーがページを閲覧している際の関心や注目点を知ることができますので、サイト内の、
◇見てほしいところなのに全然視線が集まらない箇所
◇意外にも視線が集まっているところ等
の分析・改善ができるのです。
ゲイズプロットでは、各コンテンツの相関性が分かる為、
◇商品写真をみて購入に至ったのか
◇見出しコピーを読んでから購入に至ったのか等
の分析の対象となります。
更に、ユーザーの行動順位を知る事が出来る為、レイアウト(コンテンツの配置等)が効果的なのかどうか、サイト改善の鍵になります。
では、これらのメリットが実際にどのように生かされているのかを知る為に、EYEトラッキングによるサイト改善例を見ていきましょう
■太字の大きなヘッドラインが読まれやすい
ヘッドラインは大きいほど、そして目立つほど、ユーザーの視線が集まりやすくなります。つまり、伝えたいメッセージは太く大きく目立たせることが不可欠なのです。
■サイトの上部に注目が集まる
通常、ユーザーはサイトの上部に特に視線を集める事がわかっています。
つまり、サイトの上部でいかにユーザーに「これは自分に有益なサイト」と思わせるかが鍵になるのです。読み手の心をつかむためにも、上部を目立たせると有効です。
■余白の重要性
サイトを作成する側は、いくら伝えたい事が多くても、スペースが空いているからととにかく情報を詰め込むことは避けた方が良さそうです。これはデザインにおける全ての分野に対して言えるのではないでしょうか。
テキストの多いページでも、適度に改行を入れるなど余白を上手く利用しなければ、ユーザーは早い段階で疲れを感じ、離脱してしまいます。
余白があることで、ユーザー注視を最後までスムーズに導く事ができるのです。
■画像の重要性
商品と共に配置されているモデルの視線により、ユーザーの注視を促すことができます。
モデルが正面を見ている画像と、モデルが商品に視線を送っている画像では、後者の方が明らかにユーザーの視線が商品へ促されることがわかっています。
また、着用モデルが載っている画像を閲覧の際、男性も女性もモデルの顔に一番注目することがわかっています(特に、女性に比べて男性の注視はモデルの顔に集中)。
つまり、男性向けのコンテンツの場合は女性モデル画像を起用する事が有効と考えられます。
Facebookの場合は、プロフィール写真だけでなく、広告写真に対しても視線が集まる事から、画像がどれだけ重要な役割をしているかがわかります。
このように、EYEトラッキングでは発信側の予想もしていなかった結果もユーザーから得られ、尚且つ、その評価は無意識下の視線の動きによるものの為(見て感じたままの結果)、非常に信頼性が高く、分析・改善において非常に有効になるのです。